外国人介護人材の採用手法ごとの特徴
介護事業者様において、外国人介護人材を採用しようと検討する場合、技能実習生やEPA、特定技能、留学など、様々な制度が乱立してしまった結果、どの制度が一番良いのか分からなくなってしまった、というご相談を多く受けます。
それぞれの制度には、一長一短の特徴があるため、当社ではどの制度が一番良いという助言はしておりません。
各介護事業者様がどのような目的をもって外国人材を採用しようとしているか、また、受け入れ現場においてどのような態勢を構築することができるか、さらに、立地や予算の考え方によって、選択するべき制度は異なります。
本章では、それぞれの制度の特徴について、できるだけ分かりやすく制度比較をご紹介しております。
技能実習制度 | 特定技能 | EPA | 留学(留学→介護) | |
---|---|---|---|---|
目的・主旨 | 【人材育成】 本国への技能移転 |
【就労】 人材不足業界に限定 一定の専門性・技能を有することが条件 |
【就労】 二国間の経済連携の強化 |
【修学→就労】 専門的・技術的分野の外国人の受入れ |
対象国 | 16か国 インドネシア、ベトナム、フィリピン、中国、ネパール、ミャンマー等 |
12か国 インドネシア、ベトナム、フィリピン、ネパール、ミャンマー等 (ただし、特定技能試験に合格すれば国籍問わずビザ取得は可能) |
3か国 インドネシア、ベトナム、フィリピン |
制限なし |
特徴 | 【対象者】労働者層 【入職時の状態】 日本語レベル:N4~ 送り出し機関で所定の教育は受けるが、ほぼスキルは0。職場において基礎から教育が必要。 |
【対象者】労働者層、技能実習・EPA・留学修了者等 【入職時の状態】 日本語レベル:N4~ 技能実習修了者等在留経験がある者は良いが、現地で採用した場合は技能実習生と同等レベル。 |
【対象者】看護大学卒業 【入職時の状態】 日本語レベル:N4程度 看護大学卒業者のため、資質は高い。また、ベトナムは入国時N3以上必須。インドネシア・フィリピンはN5程度以上。 |
【対象者】高卒以上 【入職時の状態】 日本語レベル:N4~ |
在留資格 | 技能実習 | 特定技能 | 特定活動 | 留学→介護 |
在留管理/サポート | 協同組合等 | 勤務先(または登録支援機関に委託) | 国際厚生事業団 | 学校・法人 |
配置基準算入 | 着任6か月経過後 | 着任後 | 着任6か月経過後 | 着任後 |
介護福祉士取得見込 | 低い | 低い | 介護福祉士合格率 インドネシア :43% フィリピン :35% ベトナム :91% |
100% (専門学校卒業で介護福祉士取得・経過措置期間の延長 |
受入れ要件 | 訪問系サービス不可 設立後3年経過 受入れ人数枠あり 技能実習指導員の配置等 |
訪問系サービス不可 設立後3年経過 在留支援体制の構築または登録支援機関への委託が必要 |
訪問系サービス不可 定員30人(床)以上 介護福祉士4割以上 研修責任者の配置等 |
なし ただし、留学生の就労は週28時間以内 |
在留期間 | 3年:1号+2号 + 2年:3号 (3号への移行は要件を満たす必要あり) |
5年:1号 + 5年:2号 (介護に2号はない) |
4年 + 1年:滞在延長 |
3年~4年:留学 + 制限なし:在留資格、介護 |
採用にかかる費用(雇用期間) | 約380万円(3年間) | 約275万円(5年間) | 約156万円(4年間) | 約270万円(8年間) |
1年あたり費用 | 約126万円 | 約55万円 | 約39万円 | 約33万円 |
勤務先変更(転職) | 原則不可 | 可 | 原則不可 | 可 (奨学金の返済が必要) |
技能実習生
特徴
低スキルだが、人材確保しやすい
メリット
・特定技能への移行により最大10年間は就労可能
・行政手続き関係は監理団体がサポート
デメリット
・高コスト
・受け入れにおける手間暇
・介護福祉士合格率が低い
留学生
特徴
日本語や介護に関する専門教育を「学校」が担い、確実に介護福祉士の取得が期待できる唯一の制度
(介護福祉士養成校卒業生に対する経過措置の適用)
メリット
・教育に関する負担が少ない
・専門学校での教育を受けた介護福祉士の獲得
・ロイヤリティ(忠誠心)の醸成がしやすい
・長期的な雇用継続が期待される
デメリット
・奨学金の長期貸付リスク
・日本語学校や専門学校が近隣にない可能性
EPA
特徴
国家間同士の経済連携協定をベースとした制度
看護師や介護福祉士の取得を目指す
メリット
・低コスト。国の事業であるため、助成金等がある
・現地看護学校出身者のため資質は高い
デメリット
・競争激化により、新規参入困難
・介護福祉士合格率は高くない
特定技能
特徴
平成31年に新たに制定された在留資格
一定の専門性や技能を有する人材を想定している
メリット
・最低限の能力は担保されている
(日本語レベルN4程度、介護の知識等の試験あり)
・人材会社等の参入により、人材供給力が高い
・技能実習やEPAからの資格変更として活用することで、雇用する外国人材の長期雇用が見込める
デメリット
・転職が可能
・介護分野には特定技能2号がないため、受け入れ期間は最大5年となる
・在留資格認定における審査書類が膨大
・3か月ごとの定期報告など、手続きが煩雑
・人材紹介料+支援委託費+教育費となり、費用は高め
不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。