外国人との共生社会の実現に向けた取り組み事例
(1)社会医療法人仁厚会・社会福祉法人敬仁会
同法人グループは、鳥取県倉吉市を中心に病院、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等を多数展開する県内屈指の法人グループです。
▼社会医療法人仁厚会・社会福祉法人敬仁会 公式Webサイト
https://www.med-wel.jp/
鳥取県は、看護師・介護士不足が深刻な県のひとつとして有名です。
2015年に新設された鳥取看護大学の誘致に成功し、以降大幅に看護師不足が解消されてはいますが、県内に3校あった介護福祉士養成施設のうち1校が募集難のため募集停止となり、2校の募集定員数に対する充足率も全国平均を下回るなど、介護人材不足はいまだ続いています。
外国人材の採用
そのため積極的に外国人材の採用に取り組み、同法人は2019年4月に東京の特別養護老人ホームにてインドネシア人留学生を採用。
同年11月には初めて鳥取県にある倉吉病院でインドネシア人の准看護師(元EPA看護師候補者)を採用し、2020年も引き続き、介護福祉士や留学生を複数名鳥取県内の各施設において採用しました。
また、留学生についても、圏内の介護専門学校と協力。2名のインドネシア人留学生が日本語学校から進学する予定です。
将来的には、有資格者や留学生を中心に、技能実習生や特定技能ビザ取得者など、総勢100名程度の外国人材を鳥取県内の各施設で採用することを計画しています。
外国人材に対する支援
国家資格を保有する外国人材たちの多くはすでに結婚していたり子供がいることも多く、彼らは「家族で生活できる」ことを希望しているため、同法人では家族の帯同を認め、就職後しばらくしてから家族を呼び寄せることとしています。
呼び寄せにあたっては、家族で生活できる広さの住居が必要で、配偶者の就労先や子どもの保育園も用意する必要があります。
配偶者の就労にあたっては、日本語ができない者も多いため、日本への渡航に向けて現地日本語学校での勉強を支援しています。また、来日後の就労についても、彼らの就業経験に併せて近隣企業へ働きかけ、就労先の確保を進めています。
経済的な問題については、家賃の支援をおこない、関東圏や都市部で就労した場合と遜色のない実質手取り額を提示することで、多くの外国人材の関心を集めることに成功しています。
職員に対しては、外国人材導入の必要性をはじめ、文化理解の観点、また想定される支援について勉強会を開催し、スカイプを利用して入職予定の外国人材との交流をするなど準備を進めています。
自治体との連携
同法人による外国人材の採用には地元自治体も関心を示しており、自治体との連携や支援要請を模索しています。
自治体にとっても人口増加による増収や地域活性化、空き家問題の解消などメリットが大きく、地域にとっても、外国人材は生活者として定住することとなるため、消費活動をおこなうことから地域経済の活性化も期待されています。
将来構想
同グループ自体の外国人材の採用は上述したように100名程度を想定しており、彼らの配偶者などを含めると少なくとも130名以上の外国人材の流入が見込まれます。
同グループは、同業である近隣の医療福祉法人や人材確保に困窮する近隣企業にも本取り組みを紹介し、介護人材だけでなく、様々な職種の外国人材の導入を支援しようとしています。
そうすることにより、外国人材導入とそれにまつわる定住支援活動は地域の活動となり、その効果は地域で享受されることになります。
同法人および当社はこのような取り組みを、地方創生事業の一つの形である「倉吉ダイバーシティ構想」として推進しています。